● 12サイン物語 


《牡羊座》

魂が炸裂する時の、体中から溢れるエネルギー。
脳内で迸るドーパミン。
その純粋で、力強いエネルギーを雄々しく上昇させる時、
体全体が、喜びに溢れ、歓喜の声をあげるだろう。
今、私は、ここにいる!のだと。
誕生の喜び。

《牡牛座》

そして、その衝動を、
この世に具体化するための試み。
自己の中に隠された才能の発掘。
そして、その中から何かを得る時の感動。
美しく完成されたものを、さらに磨き、そして完成させたい。
あくなき、所有への喜び。

《双児座》

その所有したものを
自分の中でただ持つのだけではなく
それを、自分以外の人に、打ち出したい。
プレゼンテーションしたい。
その為に、言葉を、コミュニケーションを学ぼう。
時には、ライバルとの闘いもある。
しかし、その闘いすら、気持ちがいい。
その闘いの中で、のし上がり、ライバルを打ち倒す。
競めぎあう喜び。

《蟹座》

そしてふと気が付く。
自分が、たった一人だということに。
疲れ果てた彼は、再び家路につく。
母の中に抱かれ、そして新たな出発を模索する。
そこは、静かで、暗く、そして暖かい。
包み込むような、まどろみ。
快楽に自己を沈め、しずかに眠る。
そのまま、溶けて消えていくような、無限の快感。
生命の故郷。
安眠の喜び。

《獅子座》

長い長い眠りの中で
自分の中の衝動を、手に入れた肉体を、
交わす言葉をもう一度練り直した人は、
再び目覚め、その衝動を創造という興奮にかえる。
さあ、見てくれ!
この私が打ち出す作品を。
彼は、舞台の上で雄々しく叫ぶ。
観客席の声は、ブーイングなのか、それとも喝采なのか…
しかし、彼の耳には、それは届かない。
舞台の上で存分に、何ものにも左右されずに表現すること。
それこそが、彼の喜びなのだから。
創造の喜び。

《乙女座》

舞台の幕は下ろされた。
そして彼が気が付いた時、観客席には誰もいなかった。
恥じいる彼は、舞台そでで自己反省に向かう。
私は、私を管理したい。
荒々しく表現するのではなく、徹底管理した
完成された私でありたい。
彼は、自己を管理しようとする。
管理する中で、完成させていく美しい自分の姿。
なんて美しい、これこそが私、なのだ。と。
管理する喜び。

《天秤座》

彼が自分を完全管理できたと喜んだ時、
ふと、気が付くと彼の側には彼以外の人間がいた。
その他人は、彼に向かって
きみは、●●な人だね。と言った。
そんなバカな。私は、私ではなかったのか。
私は、他人からみて、どんな人間だったのだろう?
聞いてみよう。調べてみよう。
彼は、自己を様々な鏡に映し、その姿の中に
自分というものを知る。
沢山の人々の「目」を集めることにより、
よりバランスの取れた自分が、出来上がっていく。
人と交流する喜び。

《蠍座》

より多くの人と言葉を交わし、バランスを保つことに
喜びを見い出していた彼は、ふと、その中で
一体どれが本当の自己の姿か、分からなくなってしまう。
余りにも多くの人々の目の中で、どれが自分だったのだろうか。
その時、彼は、美しい女性と出会う。
不特定多数の交わりではなく、たった一人の彼女を、私は所有したい。
モノでは無く、心で所有したい。
彼のそんな欲求に応えて、彼女は、にっこりと微笑むと
彼をより深いところへ導いた。
二人の境界線は溶けて、より深くより一つに混じりあう。
解け合う喜び。

《射手座》

そして、新しい生命が、うまれる。
長い時間が、新しく生まれた生命を健やかに育てていく。
より、柔軟に、より、高潔な魂を、彼は、そして彼女は育てていく。
そして、その生命は、新たな出発へと向けて、
力強く飛び出していく。一人では生まれなかった新たな命の誕生。
新たな魂は、自由に心と体とを遠くまで飛ばせる翼を持って
より大きな世界に向けて、自分の魂を、情熱を大きく膨らませていく。
飛翔する喜び。

《山羊座》

大きく拡げた翼をもつ彼は、ふと気が付く。
この大いなる情熱を、大地に根付かせるためには
翼を一旦たたみ、大地に降りねばならない、ということに。
大地に降り立った彼は、その翼を大地にうずめ、
自由と引き換えに、大地に芽生えた豊かな富みをその手に入れる。
巨大な都市が、秩序をもって完成されていく。
そして彼は、その頂点にたつ。
支配する喜び。

《水瓶座》

そんなある日、彼は気付く。
彼は、大地を支配していたのではなく、
大地に支配されていた、ということに。
もっと、軽やかに。
もっと、もっと自由に。
大地も、巨万の富も私は要らない。
吹き上げる風に乗って、
彼は自分の体以外のものを、大地に捨てて
そのまま大きく飛び出していく。
大いなる世界が、彼とともにある。
彼と共鳴する魂を感じながら、
彼はさらに高く、高く上昇していく。
自由なる喜び。

《魚座》

吹き上げる風に身を委ね、
足下に大海を望むところまで辿り着いた彼は、
ここまでの旅路の中で、遠い日に自分が捨ててきた様々なものが
海の上に浮かんでいるのを見る。
思わず降り立ち、その浮かんだモノを優しくすくい上げる。
海の底には、もっと、たくさんのものがあるのだろう。
それに気付いた彼は、
ついに、その体すらその海に沈め、
体についた血肉を海に溶け込ませていく。
そして、魂を純化させていくのだ。
もうすぐ、旅路は、終わる。
長い長い、旅だった。
人は、どこから生まれ、どこに行くのだろう。
細切れにそぎ落とされていく魂の贅肉の泡の中、
薄れゆく記憶をたぐり寄せながら
彼は、次なる世界に、期待する。
信じる、喜び。


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